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化天のうちをくらぶれば

アイキャッチ用雑僧雑感

雑僧の雑感 仏暦2562年月 後半 vol.8

「化天のうちをくらぶれば」

 

~人間(じんかん)五十年、化天(けてん)のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり~
 平敦盛を討ち取った熊谷直実が、法然上人の門に入り念仏者となった話は有名。冒頭は、直実が世をはかなむ一節。織田信長がこの節を好んだ事でも有名である。
 この一節、何だかよく意味が分からん。人間五十年とは、人の一生涯と言う意味があるらしい。具体的な50歳では無いと言うが‥‥。
 そもそも化天(『信長公記』では下天)って何?化天は「けてん」と読み、下天は「げてん」と読む。この二つ、意味と言うか場所が違うのである。化天は天界の下から5番目の世界で、正式名称を楽変化天という。
 ‥‥が、下天はよく解らない。天界の階層は28層に分けられるが、その中で劣った天を下天というらしい。最下層が劣っているならば、四大王衆天(四天王が住む天界)のことを指すのだろう。因みに、最上階は非想非非想処天と言い別名を有頂天と呼ぶ。
 化天の一昼夜、所謂24四時間は、人間世界の800年、寿命は8,000歳。四大王衆天の24時間は人間世界の50年、寿命は500歳と説かれる。であるならば、 下天=四大王衆天 と、みた方がしっくりくる。何せ人間界の50年は、四大王衆天の1日だから。それとも、下層部の六天を下天というのか?だとすれば、化天も下天も相違ない。でも‥‥、
 平均寿命が50歳前後であったその昔、比べたとするならば 下天=四大王衆天 の50年であろうか?兎も角、天界の下層部である化天、下天と比べれば人間の一生涯など、夢幻の如く儚いなー、と言う意味である。
 因みに、宇宙にある程度行ける今日でも、天界の存在は確認されていない。当たり前である。別の機会に記すが、人智の届く範囲は、例え宇宙だとて娑婆世界の一部に過ぎないのだから。しかも、六道娑婆に含まれる天界でさえ、宇宙を超越している。ましてや仏土である浄土は尚更である。
 信長、桶狭間の前夜、この節を謡い舞い法螺貝を吹かせたと伝えられる。本能寺でも謡い舞い、自刃して果てたと伝わる。

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