レレレのおじさん
雑僧の雑感 仏暦2563年9月 後半 vol.46
「レレレのおじさん」
塵を払わん 垢を除かん 仏教における掃除の極意である
また仏教の世界では
一掃除 二勤行 三学門とも言われる それだけ掃除は大事なのだ
お釈迦様のお弟子に 摩訶槃特と周利槃特という兄弟がいた
お兄さんの摩訶槃特は優秀な弟子であったらしい。一方で弟の周利槃特、お釈迦様のお弟子の中で最も愚かで頭が悪いと言われている。お兄さんの勧めで教団に入ったが、詩の一行も暗記出来ない、どころか自分の名前ですら時折忘れてしまう。あまりの愚かさに、お兄さんに「お前には悟りを得る事は不可能であろう、そして仲間の足を引っ張る」と言って、教団から追放されそうになる。
途方に暮れた周利槃特にお釈迦様がこう諭される
「自分の愚かさを知っている者は、真の愚か者では無い。愚かな者とは、自分が賢いと思い込んでいる者である」
「これよりお前は、この修行道場を一心に掃除せよ」
そして一枚の布とも 一本の箒とも言われるが それを周利槃特に与えた
塵を払わん 垢を除かん ただこれだけを念じて掃除に励むが良い
お釈迦様の教えを守り一心に掃除をする毎日、5年、10年やがて20年が経ち、周利槃特はハッとする。自分が掃除して清めているのは塵や垢だと思っていたが、その実自分自身の煩悩であったのだと。その事に気づいた周利槃特はたちどころに悟りを得たと伝わる。そしてお釈迦様の代表的なお弟子である16羅漢に数えられる程になる。『天才バカボン』のレレレのおじさんは、この周利槃特がモデルとも言われている。浄土三部経の一つ『阿弥陀経』にもそのお名前が出てくる。尊いお弟子様のお話でした。
この記事へのコメントはありません。