盂蘭盆会
雑僧の雑感 仏暦2567年7月 前半 vol.137
「盂蘭盆会」
盂蘭盆会の語源はサンスクリット語の「ウランバナ」から来ている。「ウランバナ」とは「逆さ吊り」との意がある。盂蘭盆会は、神通第一と称され、舎利弗尊者と並び釈尊の二大弟子である目連尊者に由来する。
安居(あんご)は、個々に修行している出家者達が、一か所に集まり一定期間修行する事をいう。これは、雨季には草木が繁り、虫や小動物の活動が活発となる為、むやみな殺生を防ぐ為でもある。出家者の持ち物である錫杖は、杖の代わりでもあるが、打ち鳴らす事により小動物を追い払い、無用の殺生を避ける為に用いられる。法要時に振る払子も同様であろう。
この雨季の安居を夏安居(げあんご)という。この安居の最中、目連尊者が神通力で亡き母の姿を探すと、餓鬼道に堕ち飢えと渇きに苦しんでいたという。一説には餓鬼道にて逆さ吊りにされ苦しんでいたとも。釈尊は、安居の最終日に全ての修行者に飲食を施せば、母親にもその施しの一端を得る事ができると、目連尊者に説き示す。その教えを実践したところ、母親は餓鬼道から脱する事が出来た。お盆の由来である。施餓鬼会と混同されることもあるが、全く別の行事である。
お盆は、安居の最終日が7月15日であることから、その前後に勤められる。お盆は地域によって様々であり、新暦の8月に行われる月遅れや、旧暦の7月に行う地域もある。そして風習も地域によって全く異なる。何が正解で間違いという事はない。それぞれの地域で行われて来た風習を受け継ぐ。そして亡き方を偲ぶ。それがお盆なのだろう。
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