生きてさえいれば
雑僧の雑感 仏暦2563年2月 前半 vol.31
「生きてさえいれば」
この世で如何ともし難い物はなんだろうか? それは死と恋じゃないのかなー この二つばかりは 自分の意志だけではどうにもならない
…っあ こんかいの雑感のタイトルはパクリです
著者:小坂流加 『生きてさえいれば』 刊行:文芸社文庫NEO
以前読んであまりにも感動したのでつい…
生きとし生ける者にとって死と恋は、求めても答えが出ない永遠のテーマなのかもしれない。小説でも歌(song)でも、歌(waka)でもよく扱われるのはそれ故か?
最近の流行だろうか、『○○の神様』とか『神様の○○』なんてタイトルの書籍を多くみかける。神様も又、如何ともしがたい存在である。憧憬か畏怖か羨望か、死も恋も神様も、人が求めて止まないものなのだろう。
ちょっと誤解を招くかもしれぬ。求めて止まぬのは生への欲求だろう。死の中に占める割合は、生への欲求であることは言うまでもない。死と生は表裏一体なのだから。
小坂流加という作家 ベストセラー 『余命10年』の著者
『余命10年』の刊行を待つことなく49歳の若さでこの世を去った。『余命10年』の編集作業が終わった頃だったという。そして、遺作ともいうべき『生きてさえいれば』の原稿は、没後、小坂先生の自宅で発見されたという。先生のご家族から編集部へと受け継がれ、新作として発表された。編集部曰く、推敲も執筆時期も不明な原稿だったらしい。推敲いかんは著者のみぞ知る。
そこには命が煌めいている。生を紡ぐ想いが伝わる。切なすぎる恋心。感涙必死。読者冥利に尽きる。でも…、この著者と出会わなければ良かった、とも思う。次回作は永遠に出ないから。渇望しても得られない。それでも、小坂流加という作家が生きた証として、
「生きてさえいれば、きっといつか、幸せが待っている」 この言葉を胸に刻み込む
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