坊主の符丁
雑僧の雑感 仏暦2564年9月 後半 vol.70
「坊主の符丁」
符丁は仲間内だけで通じる言い回しである。隠語・暗語・集団語なども同義であろう。外部に秘密が漏れないようにとか、お客さんに内容が分からないようにだとかで使う。あからさまな金額を口にする事を避けたりもする。
様々な業界で符丁は存在するが、坊主の世界ではどうだろうか?我が業界は清廉潔白、品行方正。隠さねばならぬ言葉など不必要、何時でも正々堂々としている。
・・・ん? まてよ
そう言えば「般若湯」なんて言葉があった・・・
ご存じの通りお酒の事である
「般若湯」は 智慧に至る為の煎じ薬の意があるらしい
大黒 牛の角 踊り子
剃刀 赤豆腐 天蓋 緋の衣に紫の衣 etc
結構あるなー
これ全部坊主の符丁なのである
今ここに坊主界の禁忌を犯し 符丁の全貌を解明する
大黒は住職の奥さん
牛の角は鰹節
踊り子はどじょう
剃刀は煮干し
赤豆腐は鮪
天蓋は蛸
緋の衣は海老で 紫の衣はいわし
まだまだあるのだ・・・
かなり生臭くなってきたので、お経でも称えよう「大無人・天無人・王無中・置無直・吾無口・交無人・切無刀・分無刀・丸無点・千無点」。「だいむーじん~せんむーてん」これはかなり特殊なお経であり、読める坊さんは今となっては殆どいない。これ実は「字謎」と呼ばれる我が業界の符丁である。大から人を無くすと「一」になる。同じように解いてゆけば上記は「一~十」までを表す。まあ、符丁などは使わぬが賢明。因みに、鴈に見立てた「がんもどき」は、符丁ではなく正当な精進料理。一応、我が業界を擁護する為にも、真面目な一面もあるという事を付け加えておかねばなるまい。
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