事八日

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雑僧の雑感 仏暦2566年2月 前半 vol.103

「事八日」

 

 古来より厄災消除と招福の行事が多く執り行われて来た。災厄が降りかからぬよう、良き事が起こるよう願う。「鬼は外、福は内」と願う豆まきも、厄災消除と招福を願う行事。二月はもう一つ、「事八日(ことようか)」という行事がある。無病息災、五穀豊穣を願い、「お事汁(おことじる)」という、具沢山の味噌汁を食べる習わしである。

 近年になってから、関東も節分に「恵方巻」を食べるようになったが、食は招福の行事には欠かせないのかもしれない。「お事汁」は、里芋・大根・人参・牛蒡・蒟蒻・小豆の六種の具材を使用した味噌汁。

 12月8日と2月8日を「事八日」と言う。128日を事納めとし、仕事納めをしてお正月の準備を始める日とされ、28日は事始めとする。こちらは、農耕儀礼の捉え方である。事納めとして、128日には針供養を行う地域もある。逆に正月儀礼として捉える場合は、12月を事始めとし、2月を事納めとするらしい。風習は地域によって様々だが、その根底に、招福の思いがある事は同じであろう。それだけ人の世はままならぬ事が多いという事かもしれない。豆をまき「恵方巻」を食べ、災厄消除と招福を願う。縁起が良いとされるものは、何でも取り入れたい。そんな事を思うのは私だけじゃない筈。我が寺では、128日から新年の準備を始めるが、「お事汁」を食べるという習慣は無い。そして28日は忘れ去っているのが現状。今年は、六種とまではいかぬけれど、今年は「お事汁」を食べてみても良いかもしれない。


 

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