三の酉
雑僧の雑感 仏暦2567年12月 前半 vol.147
「三の酉」
三の酉がある歳や
丙午(ひのえうま)の歳は
火事が多いと言われる
酉の市は11月の酉の日に行われる行事で、各地の鷲神社では賑やかな市がたつ。縁起熊手が有名で、新年の開運招福や商売繫盛を願う祭りとして親しまれている。縁起熊手を購入する際は値切り交渉をして、値切った分をご祝儀として渡す事が粋とされる。これは値切り合戦を楽しむ「熊手の商談」と呼ばれる。又、値切れば値切るほど縁起が良いと言われるが、縁起物を値切る事に関してはは疑問が残る。
70万円の熊手を50万円に値切り
50万円をご祝儀として渡す
しめて100万円也
これくらいすれば粋なのかもしれない
そして
開運招福 商売繁盛
となるのかもしれない
酉の日は十二支に因むので、1日から6日の間に「一の酉」がある歳には「三の酉」もある事になる。何時の頃からか、「三の酉」がある歳には火事が多いと言われるようになった。吉原がどうとか、鶏が鳴くとか言われるがハッキリとした根拠はない。丙午は、八百屋お七の生まれ歳に由来するが、これも迷信であろう。
天和の大火で焼け出されたお七一家が、檀那寺の駒込正仙寺に避難する。この寺で小姓の生田庄之介と恋仲になるが、店が再建されお七一家は寺を引き払う事となる。お七は庄之介に会いたい一心で放火をする。物語では駒込吉祥寺の小姓の吉三郎。歌舞伎等では放火はせずに、恋人の危機を救うために振袖姿で火の見櫓に登り、火事を知らせるために半鐘を打つというストーリーに変わる。天和の大火は「お七火事」と呼ばれるが、お七が放火した火事とは別である。又、振袖姿のお七が火の見櫓に登る場面が浮世絵等にも画かれるが、「振袖火事」と言われる明暦の大火とも異なる。何れにせよ、空気が乾燥する霜月から師走にかけて、火の用心に越したことはないだろう。
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