ポイントマネー
雑僧の雑感 仏暦2562年9月 前半 vol.21
「ポイントマネー」
西南の役の頃、薩軍が発行した私製貨幣に「西郷札」というものがあったとある企業城下町、企業に支配された町。企業発行の私製貨幣が横行し、人々の生活を脅かす池井戸潤著『架空通貨』
私は女優の仙道敦子さんのファン。…だった。個人的ショックは、松本清張著『西郷札』のドラマで緒方直人氏と仙道敦子さんが共演した事が、そもそもの始まりであったのだろうか…。暫くショックからは立ち直れなかった。
何れにせよ私製貨幣の強制は悲劇を生む失恋という副産物も生む
私製貨幣も日本銀行券も不換紙幣ではある。
…が、根本的に違うのだろうご承知の通り現在我が国では、
政府の紙幣は発行されていない。あくまでも、日本銀行券なのだ。
不換紙幣の反対は兌換紙幣、紙幣と相当分の金が交換できるのだ。但し、発行できるのはその国の金保有量分のみである。不換紙幣は紙幣そのものに価値は無い、有るのは信用。これは考えてみればすごい事でもあり、恐ろしい事でもある。信用が無くなればただの紙切れ。
徳川綱吉の頃、元禄の貨幣改鋳と呼ばれる財政政策が取られた。家康は天下統一と同時に貨幣の統一も果たしたのだ。これは天下を統一するよりも難しい事だったのではなかろうか?金100%の慶長小判を造ったのだ。元禄の改鋳では金の含有量を減らしたのである。金だって無限じゃないから。
当然市場は大混乱、だって、今まで持っていた金一両(金100%)と、これから発行される金一両(比率は調べてない…)が同じ価値だという。そりゃ心理的に100%(アキラではない)を持ってたいし手放したくない。
賛否は勿論有るが、一方でこれは歴史的な貨幣改革であろう。色々省くが、変遷を経て現在のシステムに至る。私は密かに思うのだが、綱吉という将軍は、徳川幕府の安定の礎を築いたと同時に、現代社会の構造の基を築いた凄い人なんじゃないかと。
ところが最近、少し気になる事がある。日本銀行券以外の貨幣が凄まじい勢いで流通しているのだ。所謂ポイントマネーである。買い物で付帯されたポイントが現金同様に使用できるのだ。聞くところその総額は数億円とも…。この貨幣は何処で造られているのか?どうして日本銀行券と同等の価値があるのか?頭の悪い私には分からない…。
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