あなたまかせの年の暮
雑僧の雑感 仏暦2563年12月 後半 vol.52
「あなたまかせの年の暮」
ともかくも あなたまかせの 年の暮 (一茶)
コロナで始まりコロナで暮れる そんな一年だった 今年は一体何をしたのだろう?
三密 パンデミック GoTo 不要不急 マスク 新しい生活
不安だらけの毎日が過ぎて行く
平穏な日常の有難みは 失って初めて気が付く
「あなたまかせ」一見すると他人まかせのように見えるが、そうでは無い。あれやこれや考えてもどうしようもない。ただただ仏様に身を任せ、辛くても、悲しくても、不安でも、苦しくても、それに捉われずに、ありのまま、この身このままで年を越して行く。その想いが込められた句である。
今年ほど この句を噛みしめる年の瀬は無いのではなかろうか?
そんな気がする
浄土真宗の門徒で熱心な念仏者であった一茶。五十一歳で結婚し、長男を授かるも生後一ヶ月で我が子を失う。次に生まれた長女も一年で病死。おもうままにならぬ人生だからこそ、阿弥陀様に身を任せ、その救いにすがる。如何に科学が進歩しようとも、文明が進もうとも、如何ともしがたい事は多く有る。
人の一生で 悲しみや苦しみが無くなる事は無いのかもしれない
そんな身であればこそ、仏様に身を任せ信仰に生きる。今年も「あなたまかせ」で始まり暮れる。そしてまもなく「あなたまかせ」の一年が始まる。
どう生きる? どうしたい?
不安だ不安だと毎日を送るよりも、仏様に身を任せて精一杯生きる。一茶の生き様に学ぶべきところは多い。とは言うものの、不安を拭う事が出来ない私達。せめてこの句を折に触れて思いだしたいものである。
来年は今年より良い歳となりますように
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