坊主丸儲け
雑僧の雑感 仏暦2565年6月 後半 vol.88
「坊主丸儲け」
「坊主は丸儲け」という言葉がある
坊主は元手ゼロで、お布施を全部懐に入れる事が出来る。つまり、何もせず楽々と儲けられるという意味だろう。なる程と思う。因みにこの言葉には前段がある。
江戸の浮世草子『風流茶人気質』に
魚三層倍、呉服五層倍、花八層倍、薬九層倍、坊主丸儲け
とある
「層倍」は、元手に対し何倍かという事。つまり、魚は三倍、呉服は五倍という事になる。なので、坊主は元手無しなので丸儲けとなる。魚は「さん」、呉服は「ご」、花は「はち」、薬は「く」といったように語呂合わせであるので、実際の粗利とは関係ない気もする。
因みに『風流茶人気質』には他の例も載っているが、時世を鑑み省略する。当たり前だが、商売である以上儲けなくてはならない。原価で仕入れて原価で売っていたのでは商いにならない。だから仕入れに対していかほどの値を付けるかは、業界で決まりがあるのだろう。
そこで「坊主丸儲け」である。辞書では、「僧侶は元手がいらないので、収入の全部がもうけになる」とある。辞書だから仕方がないが、結構オブラートに包まれている気がする。元手が殆どかからずに、思わぬ利益を上げた時にもこの言葉は使われる事がある。つまり、坊主は楽をして大金を稼いでいると言った意味となる。『風流茶人気質』の内容が正しいのかは分からないし、単なる言葉遊びなのかもしれない。けれど、この言葉が残っていると言う事は、あながち間違いでもないのであろう。坊主の立場で言うのもなんだが、こういう語呂合わせは好きである。
因みに坊主は商売ではない
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