花まつり

雑僧の雑感 仏暦2568年4月 後半 vol.156
「花まつり」
お釈迦様のご誕生を祝う法会である降誕会(ごうたんえ)は
一般的には「花まつり」と呼ばれている
灌仏会(かんぶつえ)とか浴仏会(よくぶつえ)とか龍華会(りゅうげえ)との別名もある。お釈迦様はルンビニーの花園でご誕生された。ルンビニーは現在のネパールである。お生まれになられて七歩歩まれ、天と地を指さし「天上天下唯我独尊」と偈を称えられた事はあまりにも有名。九頭の龍が現れ、甘露の雨を降らせてお誕生を祝ったと伝わる。又、清らかな水を降らせ産湯としたとも言われる。
花まつりでは、この伝承に因み花御堂(はなみどう)と呼ばれるお堂を花々で飾り、灌仏桶の中央に誕生仏をお祀りし、甘茶をかけてお祝いする。甘茶を使用する風習は江戸期頃からであり、古くは香湯(こうとう)をかけていた。香湯とは香を煮出したもので、現在でも法会等で身を清める為に使用する事がある。香湯が五種の香料を加えた五香水や五色の水となり、甘茶となって現在に至る。焼香は香木や漢方薬を調合して作られる。香木である沈香や白檀に、漢方薬である丁子、龍脳、栴檀、かっ香等を配合する。香木や焼香にはリラックス効果があると言われているが、正式に調合された焼香には漢方薬としての効能もあるのかも知れない。現在の香湯は丁子を煮出したものが多い。因みに甘茶も漢方薬の一種である。灌仏会の甘茶ですった墨を使用すると書道が上達するとも言われている。「花まつり」の名称は、明治期になり新暦が採用されると、誕生日と伝わる4月8日は、桜が咲き誇る時期と重なる事から名付けられたと言う。
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