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世界の記憶

アイキャッチ用雑僧雑感
雑僧の雑感 仏暦2568年5月 前半 vol.157

「世界の記憶」

 ユネスコ(国際連合教育学文化機関)が1992年に開始した事業に、「世界の記憶」というものがある。世界的に重要な記録物を国際的に登録する事によって、古文書や記録物等を保全し、広く公開する事を目的としている。ユネスコは世界各国の国民が、教育・科学・文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の福祉の促進を目的とした国際連合である。

 徳川幕府は、世界史的にみても類を見ない長期政権であると言われる。徳川幕府の政策は多岐にわたるが、貨幣の統一と寺請制度の二本柱が長期政権の礎になったのではなかろうかと思う。貨幣を統一し、寺請制度により戸籍の管理を行う。又、5第将軍綱吉が貨幣改革を行った事も大きいだろう。綱吉と言えば、「生類憐みの令」を発布した事で有名である。江戸期最悪の法令であり、最悪な将軍と一部言われる事もあるが、武断政治から文治政治への転換を行い、有能な人材を登用した将軍でもある。長期政権の中興であると言っても過言ではなかろうと思う。

 徳川家康は江戸に幕府を開き、貨幣の統一や数々の事業を進める一方で、各地の寺院に所蔵されていた大蔵経を集め、菩提寺である芝増上寺に寄進した。大蔵経は一切経とも言われ、インドから中国にわたり漢訳され、日本に伝えられた経典である。増上寺に寄進されたのは、中国の宋代・元代及び高麗において印刷された三種で、「三大蔵」と呼ばれる。この度、パリで開催されたユネスコの執行委員会で、増上寺の「三大蔵」が「世界の記憶」に国際登録決定された。この貴重な経典が、広く世界へと公開され活用されて行く事だろう。


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