千穐楽

アイキャッチ用雑僧雑感
雑僧の雑感 仏暦2565年5月 前半 vol.85

「千穐楽」

 

 「千穐楽」は数日にわたる興行の最終日を指す言葉である。縮めて「楽日」とか「楽」とか言う事もある。この言葉、実は世界最古のオーケストラと言われる雅楽発祥の言葉とも言われている。且つては歌舞伎や大相撲における用語だったが、現在は広く使用されている。

 何故に「秋」では無く「穐」と書くのか?「穐」は「秋」の異字体である。火事と喧嘩は江戸の華と言われたように、とにかく火事が多かった。芝居小屋もしばしば火事に悩まされていた。ので、火がつく「秋」を避け「亀」のほうの「穐」を使用していたらしい。

雅楽の曲目には「楽」がついているものが多い

延喜楽 傾盃楽急 還城楽 西王楽破 萬歳楽 等など

 私は雅楽には詳しくないので、何故に「楽」が多く曲目につけられるのかはよく解らない。お目出たい席で演奏されるからなのか?「千穐楽」は、法要の最後によく演奏されており、それが転じて「最終日」となったらしい。「楽」の字で言えば、「楽屋」という言葉がある。これも雅楽由来の言葉で、演奏する曲の事を「楽」と言い、舞楽の時に楽人が演奏する場所を「楽屋」と言った。ここでは舞人が装束を整える事も行われており、衣装などを準備する場所を「楽屋」と呼ぶようになった。

「呂律が回らない」「音頭」「野暮」「打合せ」「二の句」「二の舞」等など

 雅楽に由来する言葉は現在も使用されている。これを思うと、言葉とはなんと面白い事か。言葉は時代と共に変遷するが、その語源を尋ねれば、意外と古く使用されていた言葉が多い。


 

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