五月雨式

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雑僧の雑感 仏暦22568年6月 後半 vol.160

「五月雨式」

 

五月雨は

旧暦の5月頃に降る雨の事である

 旧暦は文字通り古い暦であるが、現在で言うところの旧暦は、弘化年間より明治5年まで使われていた「天保暦」を指す。「天保暦」は、月の動きに主軸を置き、それに太陽の動きを取り入れた「太陰太陽暦」の一種である。明治6年よりグレゴリオ暦が採用された。

 幕末維新を経て成立した明治政府は、徳川幕府の体制をことごとく否定する。明治4年には「散髪脱刀令」が太政官により布告された。「廃藩置県」も同年。さらには「廃城令」が明治6年に公布される。慶応3年の「王政復古の大号令」は、神武天皇の御代に戻る事である。

 太政官は645年に設置され、慶応4年に一旦廃止されているが、神武創業と言いながら明治政府はこれを引き継いでいる。明治18年に内閣が誕生して太政官は廃止となる。因みに「散髪脱刀令」は髪型を自由にしてもよいとの事で、髷による身分・職業の区別をなくす意図があったのだろう。脱刀は、士族や華族は刀を差さなくてもよいとの事で、士族、華族以外の帯刀は「散髪脱刀令」の数か月後に禁止される。「廃刀令」は明治9年である。また事実上の年貢の廃止である「地租改正」は明治6年の事である。まさに怒涛のごとき改革である。

 五月雨は「さみだれ」もしくは「さつきあめ」と読む。昨今の梅雨は、ゲリラ豪雨のような激しい雨が降る事が多いように思われる。五月雨式(さみだれしき)は、物事が一度で終わらずにだらだら続く事を意味するビジネス用語である。しとしとと何時までも降り続く雨。恵みの雨であるならば、れもまた必要なのだろう。


 

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